おもしろい記事を見つけたのでご紹介します。

The Nazis’ 10 Control-Freak Rules for Jazz Performers: A Strange List from World War II

今となっては誰もが聞いたことあるジャズも、20世紀初頭の白人社会においてはびっくりするような音楽で、受け入れられない人たちもいたようです。特にナチスは嫌っていたようで、以下の10のルールを取り決めています。日本で言うところの「敵性音楽」ですね。

可能な限り訳してみましたが、特定の民族を罵倒するような表現は省きました。

(1)「スウィング」と呼ばれるフォックストロット(訳注:そういう社交ダンスのジャンルがあるらしい)リズムはレパートリー全体の2割を超えてはならない。

(2)ジャズと呼ばれるレパートリーにおいては、長調で人生の喜びを歌ったものが好ましい。

(3)テンポについては、ゆっくりなブルースと呼ばれる音楽よりハツラツとしたものが好ましく、アーリア人らしく適度に規則正しい速さで、ある一定のアレグロを超えてはならない。

(4)ジャズと呼ばれるレパートリーにおいてシンコペーションは曲中の1割までとし、残りは、自然なレガートの拍子でなければならない。

(5)ドイツ人の精神に沿わない楽器(カウベル、ブラシなど)や、木管や金管の気高い音を犬の遠吠えのように変えてしまうミュートなどの使用(ワーワーハットなど)を強く禁止する。

(6)ドラムブレイクと呼ばれるものを二拍以上入れることも禁ずる(ただし正しく形式化された軍隊行進曲的なものは例外とする)。

(7)ダブルベースは弓で演奏すべきこと。

(8)楽器へのダメージとなること、また、アーリア人の音楽性に有害であることから、弦をはじくことを禁ずる。ピチカートのような効果が曲中に求められる場合は特に注意を払うこと。

(9)音楽家はスキャットと呼ばれるボーカルの即興演奏をしてはならない。

(10)全てのオーケストラやダンスバンドはサクソフォーンの使用を制限し、チェロやビオラなど大衆に適した楽器を代用すること。

読んでいるとジャズを聞いた人たちが示した拒否反応が想像できて笑っちゃうところもあるのですが、方やジャズを好んでいた人たちは、いわゆるアングラというか、地下でひっそり楽しんでいたようで笑い事ではなかったようですね。

上記のルールはチェコスロバキア出身で、ナチスへの反対活動をしていた作家が実際に見て、後に自身の出版物に掲載したものだそうです。

大衆を熱狂させる音楽も権力者には脅威だったのでしょうか。音楽とは不思議なものです。

ちなみにこのようなヨーロッパにおけるジャズの扱われ方を、若き日のスタンリー・キューブリックは目の当たりにしていて、情報を収集し映画化目前まで迫っていたそうですが、その話題は次の機会に。

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写真は記事とは何も関係ありません!久しぶりに開いた本で、お店を開くときに考えていたことを思い出していました。

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