入荷したアップライトピアノの外装整備が完了しました。実はこのピアノは以前私が売ったピアノで、お客様の3人のお子様がそれぞれピアノ教室に通って練習していたピアノでした。大きくなるに連れて、学業や部活に忙しくなるとピアノに向かう時間が減っていってしまうのは寂しいながらも仕方ないことです。しかしこのピアノを引き取るときに奥様が印象に残ります。

「将来孫が生まれてピアノを始める日が来たら、またお願いしますね。」

ピアノは一度買ったらいつまでも親しんで欲しい、という願いを込めて調律や修理、オーバーホールをしていますが、一度ピアノとはお別れするけど、またいつか、という発想は初めてだったので少々驚きました。同時にとてもありがたく思いました。ピアノを手放す人にもそれぞれ事情がありますから、決して嫌われて放出されるわけではないのです。むしろ、悩み抜いて手放す方が多いのではないでしょうか。

たくさんの人に、それぞれのピアノとの付き合い方があると思います。共通して言えるのは、ピアノは家電や自動車などと比べたら相当長く使える品物です。このピアノも新しいご主人様に親しまれることでしょう。その出会いを楽しみにしつつ、今度は調律・整調を進めていきたいと思います。