アップライトピアノの預かり修理を開始します。今回のピアノはヤマハのW102Bです。

当店でも過去に修理をしたことがあるモデルです。特徴的な譜面台と鍵盤蓋が人気です。アメリカンウォールナットを全体にあしらった外装は、残念ながら高い湿度で化粧板が剥がれてしまう傾向にあるので、これらを接着してきれいに塗装し直します。

まずは本体をばらして各部をチェックします。剥がれたところを接着していきます。ここに相当な時間がかかります。貼っては待機しを繰り返し何度もチェックと接着を繰り返すからです。しかし、塗装の基本中の基本として急いではいけない、時間短縮を試みてはいけないという原則がありまして、このため時間がかかっても地道に進めていくということになります。

ところで、ここまで解体するのにネジが何本も折れるというトラブルに見舞われました。湿気を帯びたことで、ネジが錆びて回りにくくなったことが原因としてあげられます。ピアノをお預かりするときに持ち上げるとピアノが湿気を帯びているのを体感できます。明らかに重さが違うからです。このピアノも相当湿気を帯びていることを感じたので、ネジを抜く作業にある程度苦労することが予想されましたが、まさか底板に至っては全部折れるとは思わなかったので、ちょっと驚いています。でも音楽を奏でる楽器としての構造は全く問題ないので、しっかりきれいにしていきたいと思います。