預かり修理をしたピアノを納品しました。どんな修理だったかというと、ビフォーは次の写真のとおり。

アメリカの方のピアノなのですが、向こうのピアノ運送屋さんはピアノの扱いが雑で傷つけられたという話はしょっちゅうです。しかし今回のはすごかった。お客様は実際に壊した現場を見てはいないようなのですが、多分コンテナに入れたときに縛って固定しなかったので、中で動いてコンテナごと落ちたのだろうと。たしかに、そのくらいやらないとこんな木っ端みじん完膚なきまでに破壊されることはないでしょうね。

治るか?と聞かれたときに、普段オーバーホールするときの分解で構造は理解していたので請けました。でも思いっきり割れた木部などもあったので、強度については心配が残りました。

やってみてよくわかったのですが、アップライトピアノはよくできています。各パーツが互いに支え合って縦型になった鉄骨をしっかりサポートしています。ピアノが誕生してからおよそ100年後に出来上がったピアノですが、さすが100年分の人類の知識と経験が詰まっているのと、大袈裟だけどそう感じました。

よりコンパクトに、より手軽な価格を目指して作られたのがアップライトピアノですが、調整の難易度を認識する技術者もいますし、ピアニストさんでもアップライトをなめちゃいけない、という方もいます。結構奥の深い世界だったりもします。
ともあれ、無事に修理できてお客様も満足。運送屋さんは「本当にできるのか?」と疑問視していましたが、実際の仕上がりを見て驚いていました。運び出すときはハラハラしたけど、構造を頭の中でシミュレーションしたので問題はなさそうです。

また経験値が上がるお仕事をさせていただきました。ありがとうございました!

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