今日は悲しいことに合計2本の弦を切ってしまいました。一件目のお客様はアップライトピアノ。製造年と切れた弦が中音域の最低音だったことからこれはかなりショック。ひとまず繋ぎあわせる方法で対応しました。

調律後、全体の張力のバランスの話をしていると、お客様は土木が専門ということで、建物の設計上、梁に必要とされる張力の話から始まり、地盤の動きを音で捉え測定したり、地震と建物の共鳴を防ぐことなど、「振動する」点でピアノと共通しているお話しを聞きました。はては地球が生きていること、月の引力や地球との回転軸のズレが地球に及ぼす影響と地震の関係など、短時間でしたがとても大切なお話しを聞けたと思います。しかし地震と建物の共振という話は、まるで地球にも楽器の要素があるのか、楽器そのものに地球の要素がとりえれられたのか、不思議な話でした。

もう一件のお客様はグランドピアノ。こちらはかなり古いピアノで、すでに一本切れていることからまた切れる可能性が十分ありました。順調に調律が進み、最後に中音域のユニゾンを合わせているところでバチン!残念ながら切れてしまいました。ヘコみましたが、ピアノの現状を説明して全弦張り替えすることでご理解いただきました。自分で切っておきながら、更に高額な修理をお勧めしてしまった格好ですが、お値段以上に喜んでいただけるよう頑張りたいと思います。